第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**
「……いや、考えるのはやめよう」
これ以上考えたら、頭から湯気が出そうだ。
それよりも、まずは五条さんを探さないと。
契約のことも。
制服のことも。
このシャツのことも。
聞かなきゃいけないことが多すぎる。
私はベッドから足を下ろして、長すぎる袖を握りしめながら、恐る恐る寝室のドアを開けた。
「五条さん……?」
声をかけてみたけれど、返事はない。
どうやら、家には私一人のようだ。
ふと、ガラス製の立派なダイニングテーブルの上に、段ボール箱がぽつんと置かれているのに気がついた。
その横には、一枚のメモ用紙が添えられている。
そこには、五条さんの似顔絵つきでこう書かれていた。
『おはよ、。僕は仕事行ってくるから、適当に待ってて。出かけるなら、鍵は玄関のところに置いてあるよ』
あ、お仕事に行ったんだ。
なんとなく今は顔が合わせづらかったから、ちょっとほっとしたかも。
私は胸を撫で下ろし、メモの続きに目を落とした。
『あ、淫魔の制服は捨てといたから』
「…………え?」
自分の目を疑って、もう一度メモを読み返した。
捨てた?
何を?
あの制服を?
「えええええっ!? なんでですか!?」
つい、誰もいないリビングで叫んでしまった。
いや、確かにあの服は胸元もお腹も丸出しで、どう考えても外を歩けるような格好ではない。
だけど、一応あれは会社からの支給品だ。
紛失したら、たぶん始末書なのですが!
「ど、どうしよう……部長に怒られる……!」
青ざめながらメモの続きを見る。
『ダンボールにが着られそうな服があるから、これからはそれ着てね』
「服……?」
メモを置き、テーブルの上の段ボール箱に手を伸ばした。
「失礼します……」
誰に言っているのか分からない挨拶をしてから、箱を開ける。
中には、きれいに畳まれた服がぎっしり詰まっていた。
白いブラウス。
淡い色のニット。
ふわっとしたスカート。
シンプルなワンピース。
それから、部屋着らしい柔らかそうなパーカーまで。