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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「……ほんと、何も知らないんだね。は」



顎を五条さんの大きな手でぐいっと持ち上げられた。
息遣いだけで、顔がすぐ近くにあるのがわかる。



「んっ……」



息を吸う暇もなかった。
唇が触れた瞬間、身体に熱いものが流れ込んでくる。


私……キスしてる。

今日初めて会った人なのに。
初めてのキスなのに。

不思議と嫌じゃなかった。


五条さんの唇は、思っていたより柔らかくて。
それに、近くにいるだけでくらくらするくらい、いい匂いがした。


(……キスって、こんな感じなんだ)


初めてのキスに意識を奪われていると、突然唇を食むように塞がれた。
驚いて開いた隙間から、するりと熱い舌が侵入してくる。



「……っ!? ん、んぅっ……!」



戸惑う私の舌を五条さんはいとも簡単に捕まえて、深く絡め取る。
上顎をなぞり、歯列を舐め上げられた。



「んちゅ……っ、ぁ、だめ、んぅ……っ」



粘膜がじかに触れ合い、舌と舌が深く絡み合うたびに、精気が一気に流れ込んでくる。



「……っ、ふ、あっ……はぁっ……!」



五条さんの唇が少しだけ離れたが、呼吸を整える暇もなく、すぐにまた違う角度で深く塞がれた。


精気って、甘い蜜みたいに、少しずつ吸い上げるものだと思っていた。
なのに、五条さんのそれは違う。

まるで、巨大な波に丸ごと飲み込まれるみたいだった。
熱くて、眩しくて、重たくて。

私の身体では、とても受け止めきれない。


これが、五条悟という人の精気。



「ほら、ちゃんと飲んで、」

「……っ、ん、まってっ……!」



そういえば、先輩が言っていたじゃないか。

契約者さんの精気が強いって。
こんな大口案件、普通は新人に任せないって。

大口案件。

その意味を、私は今さら思い知った。



「……?」



名前を呼ばれたのに、返事ができない。
身体に力が入らなくて、羽も、尻尾も、指先も。
全部がふわふわしていた。

視界もぐるぐるしてる。


あ、だめかも。

部長。






この場合は、労災っておりますか……?



そこで、私の意識はプツリと途絶えた。
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