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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「お、お恥ずかしながら!私は初仕事で、け、経験もないですが……せ、せ、精一杯頑張らせて――」

「しないよ」

「えっ?」



五条さんはバインダーをパタンと閉じると、ソファの横に放り投げる。
そして、なんでもないことのように言い放った。



「だって僕、君じゃ勃たないし」



頭の中が、真っ白になった。

え。
今、なんて?

勃たない。
それってつまり、私に魅力がないってことで……。
淫魔なのに?
こんなえっちな服まで着ているのに?



「そ、そんな……っ」



立派な淫魔を目指しているのに、初対面で、しかも自分の契約者さんにそんなことを言われるなんて。
ショックすぎて、尻尾が絨毯の上にべちゃっと力なく倒れ込む。



「わ、私が処女だからですか!?」

「いや、淫魔なのに処女って可愛いと思うよ?」

「だったら!!」

「あー、僕眠い。マニュアルの確認はここまでね」

「待ってください! まだ、終わっていません!!」



立ち上がろうとする五条さんを、私は慌てて引き止めた。

えっちをしないのはいい。
魅力がないのは、すごくショックだけど。
というか、ちょっとだけ安心したかも。



「ま、まだ専属契約の手続きが終わってません! 最初に少しだけでも精気をいただかないと、契約が成立しないんです!」

「えっちしないのに、どうやって供給すんの?」

「だ、だから……その、最低限の粘膜接触……つまり……」

「つまり?」

「キ、キス……とか」



自分で言っておきながら、顔が一気に熱くなった。

キスだってほんとは平気じゃない。
初めてなんだもん。



「……キスねぇ」

「最低限の供給なら、たぶんそれで足りるはずなので! お願いします!」



覚悟を決めて、ぷるぷると唇を突き出した。



「ど、どうぞ……!」

「……ほんと、君ってさ」



呆れたようなため息が聞こえる。

やっぱり、五条さんは私と粘膜接触するのが嫌なのだろうか。
でも、契約のためにはキスだけでもしてもらわなければ。



「……わかった。目、瞑って」

「え……?」

「いいから」



そう言われて、私は慌ててぎゅっと目を瞑る。
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