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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**






「……というわけで。これから、専属契約に関する基本事項のご説明をさせていただきます」



私は五条さんの部屋のふかふかの絨毯の上に正座をして、空間からポンッと取り出した黒い革張りの、無駄に分厚いバインダーを広げた。

会社支給の『専属契約マニュアル』だ。



「えー。それ、明日でよくなーい?」



ソファに深くもたれかかった五条さんが、つまらなそうに長い足を組んだ。
壁にかかった時計の針は、すでに深夜一時を回ろうとしている。

確かに眠い時間かもしれないけれど、後回しにはできない。



「すぐ済みますから! 契約に関わる一番大事なことなんです!」

「こんな時間に、そんな服着て正座してる悪魔に言われても、ぜーんぜん説得力ないんだけど」

「ふ、服は関係ありません! それに悪魔じゃなくて、淫魔です! とにかく、専属契約を結んだ以上、お互いのルールの確認は必須事項です!」

「はいはい、わかったって」



そう言って、五条さんはやる気なさそうに頬杖をついた。
全然真面目に聞いてくれていない気がするけど、ここで引き下がるわけにはいかない。

私はコホンと一つ咳払いをして、バインダーのページをめくる。



「まず、第一条。『専属契約期間中の居住、および秘匿義務について』。契約者は、専属淫魔に対し安全な居住空間を提供し、その存在をみだりに他言してはならない……とあります」

「それはもうクリアしてるでしょ。僕の家、セキュリティ完璧だし。そもそも僕に祓われるはずだった淫魔を匿うんだから、誰にも言うわけないし」

「それもそうですね」

「あ、寝る場所はどうする? 一緒に寝る?」

「だ、だめです! 淫魔は契約者さんと適切な距離を保ち、不用意にパーソナルスペースを侵してはいけないと、マニュアルの3ページに書いてあります!」



私がバシッとマニュアルの該当箇所を指差すと、五条さんは「淫魔なのに?」と肩を震わせて笑った。



「じゃあ次。第二条は?」

「あ、はい。えっと、第二条はですね……」



次の項目を見た瞬間、それ以上読み上げることができなくなった。



「どうしたの?」

「い、いえ……」



私はマニュアルを胸に抱え込んだ。

ここも説明しなきゃだよね。
何なら一番大事なところだし。
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