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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**







「――」





そう呼ばれた瞬間、心のずっと深いところが揺れた気がした。

たった今、初めてもらった名前のはずなのに。
なぜか、すっと馴染む。



「……、ですか?」

「そう。」



五条さんがもう一度その名前を呼ぶと、背中に隠していた尻尾が勝手にぴんと立つ。



「っ、な、なんで尻尾が……!」

「気に入った?」

「わ、わかりません。でも……変ではないです」

「そ。変じゃないならよかった」

「はい……」






もう一度、心の中でその名前を呟いてみた。

やっぱり、不思議なくらい呼びやすい。
自分のものではないはずなのに、最初からそこにあったみたいだった。



「どうして、この名前なんですか?」

「……なんとなく、かな。呼びやすいし、君っぽい」

「そうですか……?」



自分ではよくわからない。
でも、五条さんがそう言うなら、きっとそうなのかもしれない。

私はこくりと頷いて、改めて五条さんを見上げた。



「では、今日から私は五条さん専属の淫魔、です。よろしくお願いしますね、五条さん」

「よろしく、」



その声で呼ばれると、また尻尾が勝手に揺れた。


なんか変だ。

私は今日、初めて五条さんに会ったはずなのに。
初めて名前をもらったはずなのに。


自分の胸に手を当ててみる。

どうしてか、この人に名前を呼ばれると胸がドキドキする。


これって……――。















不整脈……?






こうして。


新人淫魔としての私の初仕事は、成功したのか失敗したのかよくわからないまま。

専属契約者――五条悟さんと私の、奇妙な同居生活が始まった。
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