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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「嬉しそうだね」

「はい!」



思わず、食い気味に答えてしまった。


だって、専属契約だ。

初仕事で失敗して。
祓われそうになって。
なんかスパイみたいなことをさせられそうになっているけれど。

嬉しいものは嬉しい。
さっきから口元が緩んでしまう。


私は嬉しさで揺れる尻尾を押さえながら、改めて五条さんを見上げた。



「五条さん」

「ん?」

「ありがとうございます」



さっきまで怖くて、意地悪で、祓われるかもしれないと思っていた人。

でも、この人は私を今すぐ消さないと言ってくれた。
専属契約者さんになってくれると言ってくれた。


だから、ちゃんとお礼を言わなければと思った。



「私、頑張りますね。立派にお仕事します」



そう言うと、五条さんがほんの一瞬、私から顔を逸らしたように見えた。


あれ?
喜びすぎたかな?

そうだよね、五条さんはお仕事のために契約しただけだもんね。



「じゃあ、専属淫魔ちゃん。君、名前は?」

「……名前?」



急に聞かれて、ぽかんとしてしまった。
名前。

そういえば、私……名前なんかあったっけ。



「会社ではなんて呼ばれてんの?」

「会社では……新入り、とか。あ、部長には管理番号で呼ばれています」

「番号?」

「はい。私は217番です」

「呼びづらいし、なんか囚人みたいだな。うーん……じゃあ、僕が名前つけてあげるよ」

「名前をですか? 五条さんが、私に? 専属契約者さんは、名前までつけてくれるんですか?」

「普通は知らないけど、僕はサービス精神旺盛だから」

「おお……」



なんだか、すごい。
専属契約だけでも特別なのに、名前までつけてもらえるらしい。


私は敬意を表すために、その場に片膝をつき、しゃきんと背筋を伸ばした。



「五条さん、お願いします」

「では、発表しよう」



五条さんはやけに厳かな声でそう言うと、わざとらしく咳払いをした。
それから、もったいぶるように少しだけ間を置いて。
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