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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「今日が初仕事って言ったっけ? てことは、君はまだ何もしてないんでしょ」

「でも、これからするつもりでした」

「真面目か」



五条さんはふぅとため息を吐いた。
それから、私の前にしゃがみ込む。

急に目線が近くなって、どきっとする。
目隠しで、目は見えないけど……。



「今すぐ祓うとは言ってない」

「……え?」

「君、どう見ても事情わかってなさそうだし。それに……」



五条さんの指が、私の足元でしょんぼり垂れていた尻尾の先をちょんとつついた。



「ひんっ」

「こんなに反応良くて、しょげる悪魔、ちょっと珍しいでしょ」

「尻尾、勝手に触らないでください!!」



尻尾を引っ込めると、五条さんの口元がほんの少しだけ緩んだ。



「だから、とりあえず保留」

「保留……?」

「そ。祓うかどうかは、ちゃんと調べてから。他にも淫魔がいるらしいし。それに……君を祓って終わり、って話でもなさそうだからね」



五条さんはそう言って、よいしょと立ち上がった。


それは……。
つまり、今日は逃がしてくれる……ということなのだろうか。

目の前が、ぱぁっと明るくなった気がした。


よかった。
帰れる。

部長には怒られるかもしれないけど、祓われるよりはずっといい。



「五条さん、じゃあ、私はこれで――」

「何言ってんの? 帰っていいよとは言ってない」

「へ?」



あ、あれ?
さっきの聞き間違いだったかな?

五条さんはにこりと笑って、私を見下ろしていた。



「だって、このまま帰しても、君、明日また別の人間のところに派遣されるんでしょ」

「そ、それは……そうですね」

「で、精気を取ろうとする」

「お仕事なので……」

「だから、他の被害を出さないためにも帰さないよ」



帰さないって……。

怖い。
この人、さらっと笑って言うから余計に怖い。
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