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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


私は、誰かに害を与えるためにここへ来たのだろうか。
契約者さんの欲を引き出して、精気をもらって帰ってくる。
それが淫魔の仕事だと教わった。



「精気を、少しいただくのは……いけないことだったんですか?」

「……」

「命までは取らないから、大丈夫だって……」



そう言いながら、自分の声がどんどん小さくなっていくのがわかった。


大丈夫。少しいただくだけ。
その対価として、人間も気持ちいい思いができるし、喜んでいる。

先輩はそう言っていた。
でも、目の前の五条さんは、それはいけないことで私を祓うと言う。


仕方ない。
悪いことをしたなら、罰を受ける。
人に害を与えたなら、祓われる。

きっと、そういうものなのだろう。



「……わかりました。もし、いるだけで誰かに迷惑をかける存在なら……」

「どうぞ、祓ってください。できれば、あまり痛くしないでもらえると助かります」



尻尾が足元で力なく垂れる。
私は胸の前で両手を組み、ぎゅっと目を瞑った。



「なにそれ」



五条さんの声から、さっきまでの軽さが消えていた。
怒らせてしまったのかと思って、薄目を開ける。



「あ、す、すみません。淫魔なのに、わがままを言って」

「いや、そうじゃなくて」

「痛いのは、少し苦手で……でも、我慢します。お仕事も失敗しましたし、迷惑もかけたなら、仕方ないので」

「……は?」



五条さん、やっぱり怒ってる?

目隠しのせいで、相変わらず表情はよくわからない。
ただ、もう笑っていないことだけはわかった。



「君、さっきから何なの」

「え……」

「祓うって言われて、普通そんな素直にお願いしますとか言う?」

「もっと、抵抗した方がいいのでしょうか? そのほうが、燃える……というやつですか!?」

「違うわ」

「でも……五条さんは、祓うのがお仕事なんですよね?」

「それは、そうなんだけどさ……」



五条さんは困っているようにも、苛立っているようにも見える。
でも、その苛立ちは私に向いているのとは少し違う気がした。
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