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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


旅館には、すでに同じことを考えた人が集まり出していた。


(部屋があるといいが……)


を見ると、寒さのせいか少し肩を震わせている。
早く休ませてやりたい。


しばらくして、受付の女性が申し訳なさそうに頭を下げた。



「電車が止まった影響で、現在お部屋が一つしか空いていなくて……」



一部屋。


その言葉に、思考が一瞬止まった。
まじか……。



「……どんな狭い部屋でも構いません。なんとか、二部屋用意できないですか」



冷静を取り繕って声を絞り出したが、自分でもわかるくらい余裕がない。



「それが、特別室も、すべて他のお客様で埋まってしまっておりまして……」



女性は困った顔で、もう一度深く頭を下げた。



「……そう、ですか」



さすがに、物理的に部屋がないならどうしようもない。


片っ端から電話して、別の宿を探すか。
けど、考えることはみんな同じだ。
時間が経てば経つほど、空きはなくなる。
最悪、だけここに残して――


頭の中で色々考えていると、がおずおずと口を開いた。



「……あの、伏黒くん」

「なんだ」

「私……伏黒くんと一緒の部屋でも、全然平気だよ?」

「は?」



何を言っているんだ、こいつは。

俺が睨みつけてしまったせいで、はびくっと肩を揺らした。
それから、申し訳なさそうに目を伏せる。



「……ごめんなさい。伏黒くんは、私と一緒だと嫌かもしれないけど……」

「そういうことじゃないだろ」



つい声を荒げてしまった。


嫌なわけがない。
むしろ、その逆だ。
だから、ダメなんだ。


こいつは本当に、何もわかっていない。

相手が男だという警戒心がないのか。
それとも、俺がそういう対象から完全に外されているのか。
たぶん、両方だろうな……こいつの場合。
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