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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「それで、僕にそのお鉢が回ってきたってわけね」

「五条さんであれば、仮に契約が成立しても問題ないだろうと……夜蛾学長が」

「学長、僕の扱い雑じゃない?」



高速を降りた先の信号で、車が止まった。
そのタイミングで、伊地知が胸ポケットから小さなメモを取り出す。



「こちらが、そのアドレスです」



きっちり四つ折りにされた紙を受け取って開く。
そこには、意味のないアルファベットと数字の羅列が書かれていた。
僕はメモを片手に、スマホを取り出す。
宛先欄に、書かれている文字列を打ち込んだ。

本文は空のまま。
そのまま、送信。


数秒後、スマホがブルっと震えた。

差出人不明。
件名 縺契隱咲■譁ヲ逢悪


本文は、たった一行だった。




――契、約……し〼か?




「お、ほんとに返ってきた。文字化けしてるけど」

「えっ、もう!?」

「悪魔も仕事が早いんだねぇ」



僕は返信欄を開いて、『契約します』と打ち込んだ。

送信っと。
あとは、これで深夜零時に悪魔が来るのを待つだけか。


場所はどうしようかな。
高専には結界があるし……。
悪魔だか呪霊だか知らないけれど、変に警戒されて逃げられても面倒だな。

だったら――。



「伊地知」

「はい」

「高専じゃなくて、僕の都内のマンションに向かって」

「ご自宅で祓うおつもりですか?」

「僕の部屋なら帳も必要ないし。それに、今日はさっさと祓ってゆっくり休みたいんだよね」



そう言って、欠伸が出た。
手の甲で口元を隠しながら、窓の外へ視線を向ける。
窓ガラスの向こうで、東京の灯りがぼんやり流れていく。

残っていたいちごミルクを吸い切ったところで、ストローがずず、と間抜けな音を立てた。


深夜零時まで、あと少し。
せめて、寝不足になるほど面倒な相手じゃないといいんだけど。
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