• テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**


「……という都市伝説が、若い人の間で広まっていまして」



伊地知がそう切り出したのは、任務帰りの車内だった。

夜の高速道路を走る車の中で、僕は後部座席に深く沈みながら、コンビニで買ったいちごミルクをストローで吸う。



「今どきの悪魔ってメールなんだ。LINEでも、インスタのDMでもなくて? 既読つけたくないタイプ?」

「そこは私にも……」



伊地知が、乾いた笑いを浮かべている。

まったく。
僕の渾身のボケに対して、その反応はないでしょ。
働きすぎなんじゃないの、伊地知。


僕は「はいはい」と返事をして、ストローから口を離す。



「それで?」

「あ、はい。そのアドレスに空メールを送ると、まず返信が来るそうです」

「空メールって。懐かしいねー」

「はは……そうですね。返信内容は、毎回同じらしく……」



伊地知は、ちらりとバックミラー越しにこちらを見た。



「“契約しますか?”と」

「壺でも買わされんの?」

「壺で済めばいいんですが」

「で、それに返事すると?」

「“契約します”と返した者のもとへ、深夜零時、悪魔が現れるそうです」



窓の外を流れていく街灯の光が、伊地知の眼鏡に細く反射した。



「実際に、メールを送ったと思われる者が十数名、原因不明の体調不良を訴えています。被害が出ている以上、放置はできないとのことで、上から調査の通達が来ています」

「ふうん」



こういう都市伝説は、遊び半分で試す人間が必ず出てくる。
だから、馬鹿馬鹿しいほど広まるのも早い。
/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp