第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**
「……じゃあ、次な」
「うん」
はまだ申し訳なさそうにしていたけど、ようやく納得して缶に口をつけた。
「……おいし」
ふにゃっと笑って、ようやくいつもの表情に戻った。
五条先生を見てあんな顔をしているより。
今みたいに、こうやって笑っている方がずっといい。
がふと思いついたように俺を見る。
「あ、伏黒くんも飲む?」
そう言って、なんでもないことみたいに缶を差し出してきた。
さっきまで自分が口をつけていた缶を、当然みたいな顔で。
いや。
普通に考えて、それは……間接キスだろ。
こいつは、気にしないのか。
「もしかしてレモンティー嫌いだった?」
が、缶を引っ込めようとする。
その手が離れていく前に、俺は缶に指をかけていた。
「……伏黒くん?」
「いや…………飲む」
「うん? はい、どうぞ」
そうだよな。
別に、そんな大したことじゃない。
回し飲みくらい、普通にする……よな。
けれど、飲み口を見た瞬間、手が止まる。
さっきまで、の唇が触れていた場所。
そこに自分が口をつけるのだと思うと、妙に意識してしまう。
は、俺がなかなか飲まないのを不思議そうに見ていた。
(なんか……俺だけ意識してるのが、馬鹿みたいだ)
自分に呆れて、ため息が出る。
もういい。
そう思って、缶を口元へ運ぼうとした――その時だった。