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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「」



気づいたら呼んでいた。
が振り返って、きょとんとこっちを見る。



「……伏黒くん?」



呼んだはいいが、何を言えばいいのかわからなかった。
見るな。
気にするな。
五条先生はああいう人だ。
どれも違う。
そんなことを言われたところで、慰めになるわけがない。


俺は少し迷って、自販機の方を見た。



「……飲み物、買うけど。お前もいるか?」



我ながら下手くそだった。
話題の逸らし方としても雑すぎる。

でも、これしか思いつかねえ。



「でも……伏黒くん、さっきも買ってなかった?」

「…………」



そうだった。
さっき買った缶コーヒーが、まだ右手にある。
開けてもいない。
何やってるんだ、俺は……。



「…………これは、買い間違えた」



苦し紛れにそう返すと、は可笑しそうに笑った。



「ふふっ。伏黒くんも、そんなことするんだ」



さっきまで泣きそうだった顔が、少しだけ和らぐ。
こんなことでも、ちょっとは意味があったらしい。



「……で、いるのか」

「じゃあ……このレモンティーにしようかな」



が自販機の前で、控えめにボタンを指差した。
俺はポケットから小銭を取り出して、投入口に入れる。



「あ、自分の分は払うよ」



が止めようとした時には、もうボタンを押していた。
しゃがんで取り出し口からレモンティーを取ると、が慌てたように財布から小銭を取り出した。



「いい」

「でも……」

「ついでって言っただろ」



缶を差し出すと、は申し訳なさそうに、それを受け取った。



「ありがと。今度は、私が払うからね」

「別にいい」

「よくないよ。伏黒くんにばっかり払ってもらうの、申し訳ないもん」



真面目だな。
レモンティー一本で、そんなに気にすることでもないだろ。
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