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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「うんうん。いいねえ。青春だねえ」



五条先生がニヤニヤと笑って、俺を見る。



「恵、照れてる?」

「照れてません」

「素直じゃないね。本当は、と手繋げて嬉しいくせに」

「……っ、嬉しくないです」



反射でそう返してしまった。


(しまった……っ)


慌ててを見ると、さっきまでの笑顔が消えていた。


違う。
そういう意味じゃない。
嬉しくないわけじゃない。
いや、嬉しいとか、そういう話でもなくて。


ただ、五条先生に茶化されたのが嫌だっただけで。
と手を繋いでいることが嫌だったわけじゃない。



「……、いや……さっきのは」



待てよ。
嫌じゃない、なんて言ったら。
それはそれで、変な意味に聞こえないか。


くそっ。
この人が余計なこと言わなければ……。


五条先生を睨むが、先生はそんな俺を気にすることなく、白々しく首を傾げた。



「――ところで、二人ともいつまで手、繋いでんの?」

「「……っ」」



言われて初めて気づく。
も同じだったらしく、俺たちはほとんど同時に手を離した。



「ご、ごめんね」

「いや、こっちこそ……」



手のひらに、さっきまで触れていたの感触が残っている。
離したあとも、触れていた部分がなぜか熱い。


五条先生は、面白そうに俺たちを見比べていた。


本当に面倒くさい。
この人は、わざとやっている。
たぶん全部わかった上で、俺たちをからかっている。


入学早々、こんな担任に巻き込まれているんだ。
も俺と同じようにうんざりしているだろうと思って、彼女の顔を見る。


けれど、はほんのり顔を赤くしたまま、五条先生を見ていた。
からかわれているはずなのに。
その目は、嫌がっているようには見えなかった。


……変わったやつ。
こんな担任に振り回されて、どうしてそんな顔ができるのか。


その時の俺には、まだわからなかった。
が先生に向ける視線の、本当の意味を。
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