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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「恵なら同い年だし、も聞きやすいでしょ。ね?」

「え、あ……」



は困ったように視線を泳がせた。
そりゃそうだ。
いきなり知らない男子を紹介されて、「こいつに教えてもらえ」と言われても、戸惑うだろう。


(仕方ない……)


五条先生に何を言っても無駄だ。
この人は、こうと決めたらこっちの都合なんてほとんど聞かない。



「……伏黒恵」



短く自己紹介を済ませると、は背筋を伸ばした。



「え、えっと……よ、よろしくお願いします、ふ、伏黒くん……!」



声が上ずっている。
緊張しているのが丸わかりだ。



「二人とも堅い堅い。はい、握手」

「は?」「え?」



言い返すより早く、五条先生が俺との手を掴む。
俺の手の中に、彼女の手が押し込まれた。


の手は、俺の手とは全然違った。
小さくて。
やわらかくて。
強く握ったら、簡単に壊れそうで。


(……っ、何考えているんだ、俺は)


すぐに手を引こうとしたが、彼女の方がぎゅっと握り返してきた。



「ご、ご迷惑をかけないように頑張ります! 荷物持ちでも、ぬるいお茶淹れるのでもなんでもしますから……!」

「……石田三成かよ」



思わず、素でツッコミを入れてしまった。
なんで初対面の同級生に、ぬるいお茶を淹れられなきゃいけないんだ。



「えっ、お茶嫌いですか? じゃ、じゃあ、お水、コーヒーとか……」

「そこじゃねえ」



は真剣な顔で、別の案を探している。
なんで、尽くす前提なんだよ。
なんだこいつ。



「わからないことがあったら、普通に聞け」

「は、はい……!」

「あと、敬語じゃなくていい。同い年だろ」

「あ……」



は少し戸惑ったように俺を見た。
けれど、すぐにこくりと頷く。



「うんっ。ありがとう、伏黒くん」



さっきまでぎこちなかった顔が、ぱっと明るくなった。
俺の目をまっすぐ見て、ふにゃりと笑う。


(……なんだよ、それ)


大したことを言ったわけじゃない。
そんなに嬉しそうにすることか。
不意に向けられたそれに、なんだか調子が狂う。


握られた手のひらが妙に熱くなった気がして、俺は視線を逸らした。
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