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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


𓂃 side:伏黒恵 𓂃



五条先生が、を連れてきた日のことは今でも覚えている。



「恵ー。ちょっとこっち来て」



訓練を終えて寮の自室へ戻る途中、先生がひらひらと手を振って俺を呼び止めた。



「……なんですか」



嫌な予感しかしなかった。
五条先生が妙に機嫌よく人を呼ぶ時は、大体ろくなことがない。
面倒な任務か、よくわからない頼みごとか……その両方だ。


仕方なく先生の方へ向かうと、その後ろに小柄な女子が隠れるように立っていた。


肩にかかる黒い髪。
緊張した顔。
先生の背中に半分隠れるようにして、制服のスカートをぎゅっと握っている。


目が合うとすぐに視線を逸らされて、また先生の後ろに隠れてしまった。


人見知りか。

それに、どう見ても普通の女子に見えた。
なんでこんなやつが、呪術高専なんかに。

最初に思ったのは、その程度だった。


先生は隣に立つ女子の肩に手を置くと、無駄に高いテンションで紹介を始めた。



「紹介しま〜す。今日から高専に入学した、二人目の一年生ちゃんでーす」

「……です。よろしくお願いします」



彼女は、礼儀正しく深々と頭を下げた。



「で、恵」



紹介を終えた先生が、今度は俺に話を振ってきた。



「も式神使いだから、色々教えてあげて」

「……は?」



思わず声が出た。
この時点で、面倒な流れになる予感しかしなかった。



「まだ実戦経験もほぼないし、自分の術式もあんまりわかってないんだよね。だから、先輩としてよろしく」

「いや、それは……五条先生の仕事じゃないんですか」



教師が、生徒を指導する。
術式がわからないなら、なおさら。
それを俺に丸投げするのは、どう考えてもおかしい。



「もちろん僕も指導するよ?」

「なら――」

「残念ながら、僕は多忙でね。それに、恵との術式は、相性良いと思うし」

「……」



出た。
この人はいつもそうだ。
もっともらしい理由をつけて、面倒なことをこっちに投げてくる。
相性が良いとかなんとか言っているが、本当かどうか怪しい。
半分くらいは、自分が楽をしたいだけなんじゃないかと思う。
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