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【H×H イルミ】黒と白のアリア

第19章 束の間の休符



「素敵よ」

「キキョウさん…?」

「情け無い顔しなさんな」

「……」

「ニナ。あなた、難しいことなんて何もないの。幼い頃から苦労もしたわね。貴女はいつも泣いていた……」

「すみません」

「いいえニナ。私は責めているのではありません。そんな貴方のままで、そのままでいいの」

「…え?」

「女が殿方のように、無理に強くならなくていいの。その方が、本当は一番強いのよ」

「……」

「いいこと、私からの最後の忠告よ」

ニナは鏡の中のキキョウと目を合わせる。

「これからはライネル様と……」

キキョウの唇が綺麗な弧を描いた。

「幸せになりなさい」

「……」

「幸せにならなくてはなりません」

ニナには幸せが何かわからない。
だが不思議とキキョウの言葉は胸の深い部分に落ちていく。


「参りましょう」

その言葉と共に扉が開かれる。

ニナは深く息を吸った。
そして会場へ足を踏み出す。


広間には既に多くの人々が集まっていた。
公爵家。ゾルディック家。関係者達の視線が集まり、思わず足が竦みそうになる。

だが、隣へ立ったライネルが静かに微笑んだ。

「大丈夫」

白い手袋越しにライネルが手を差し出す。
ニナは小さく頷き、その手を取った。
会場に祝福の拍手が大きく鳴り響く。
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