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明日に編んだ舟[明日方舟]

第1章 月夜のアンコール


 そんなことがあって数ヶ月後。
 シャレムは用事があるからと、正式な手続きをしてロドス本艦を離れた。と同時に、海での戦闘でよく駆り出されたインディゴも、任務が落ち着いた頃にドクターは休養のために長期休暇を与えた。今思えば、これはあまりにも偶然で奇跡的なタイミングであったのだと思う。
 その間に二人がどのような親睦を得たのか、ロドスにいるドクターには知るよしもないが、二年くらいたったある日、インディゴが出産報告をしてきたのは驚いたものだった。
「ドクター、この子が私の赤ちゃんです」
 インディゴはお包みにいるまだ目の開いていない赤ん坊を抱えてドクターの前までやって来た。ドクターは驚いた。というのも、確かにインディゴが妊娠している話は聞いていたし、そのための必要な支援申請はいくつと承諾してきたが、そうとは分かってはいても、こうして目の前で小さな命を目の当たりにすると、ドクターはまた驚かずにはいられなかったのだ。
「可愛いらしいね。インディゴによく似てる」
 とはいえ、その赤ん坊のうっすらと生えている髪は、インディゴとは違って銀色をしていた。そこでドクターは初めて、インディゴと誰の子どもなのか気になったのである。
「この子のお父さんは……?」
 そうして目を上げたドクターは、空気の読めない質問をしてしまったのだろうと思った。このテラには訳ありが多く、当然、ロドスにも複雑な事情を抱える人が多い。ドクターは慌てて言い繕った。
「ごめん、答えたくないことなら答えなくていいよ。この質問は野暮だったね……」
 しかしインディゴは冷静そうな表情ながら小さく口を開けたまま、そういえば言ってませんでしたね、と話を続けたのだ。
「シャレムさんとの子どもです。とても可愛らしい女の子なんですよ」
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