第1章 月夜のアンコール
「私は、ルミーです。光を表すルミエールから取った名前のようです」
思えば、これは子どもらしくない自己紹介だった。といっても、私たちは親の能力を強く引き継ぎ過ぎて周りから浮いている「はみ出し者」だったけど。
「いい名前だ。早速だけど、隠れんぼを始めようか」
サージュそうやって話を進めているところ、このはみ出し者三人の中でリーダー的存在なのは彼なのだと思った。ところが実際隠れんぼをしてみると、大人顔負けのガチ隠れんぼをするカノンも指示を出したりすることもあり、この三人のリーダーは彼女なのでは、と私は考えた。
私の隠れんぼの実力はというと、アルトの次にすぐ見つかってしまい、全くもって素人であった。なので私はアルトの横に並んで、いつまでも見つからない隠れんぼをしているサージュとカノンを見守っていた。ふとアルトの方を見ると、彼は何か後ろめたいことでもあるのか、足を折り曲げて出来るだけ小さくなってその場に座り込んでいた。私はなんとなく、アルトに話しかけてみることにした。
「あの二人はまだ時間が掛かりそうですね……アルトさんは、いつもサージュさんたちと隠れんぼをしているのですか?」
「僕のことは、アルトでいいですよ」と消えそうな声で言いながら私を見、それから探す側もすっかり姿が見えなくなった艦内の小さな林へ目を向けた。「サージュさんは、いつも僕を隠れんぼに誘ってくれます。僕は……すぐ見つかって楽しくはないと思うんですけど……」
「そんなことはないと思います」私は、サージュのことは昨日知り合ったばかりだというのに、アルトにそう言い切っていた。「少なくとも、私は楽しかったです。こうして誰かと隠れんぼをすることもありませんでしたから」
「ほんとですか……っ?」
するとアルトが、心底驚いたように目を丸くして私を見つめた。それからハッとして顔を引っ込め、近過ぎました、すみませんと謝って少し私から離れた。
けれども私にとっては、誰かと遊ぶことは、相手が親だろうと影の先生だろうと、同じ年齢の子どもたちだろうとも、どちらも楽しいことなのだと改めて感じていたし、嘘偽りのない本心であった。