第1章 月夜のアンコール
こうして思い出を振り返る日記を書いてみると、とても楽しいことに気づいたので、その後の続きを書いてみようと思う。次はロドスの学校内の話でも書こう。
私は、すっかり一人遊びが板につき、ファントムさんやミス・クリスティーンがいなくても、アーツで周りを照らしてみたり、尻尾を使って木登りをしてみたり、何も考えずに空を眺めたりしていた。そうして一人で遊ぶことに慣れてしまって、自分でも気づかない内に人だかりを避けていたりして。ロドスでは学校のようなシステムも作られていたけど、休憩時間になっても私は一人で教室にいるか外で影と遊んでいる、それこそ「不思議ちゃん」として有名だったらしい。
そこで話しかけてきたのは、さっき名前を出したサージュっていう男の子。
今はロドスのオペレーターとしてエクリプスと名乗っているけれど、私に初めて同年齢の友達が出来たのはこの時だった。
「いつも影と遊んでいるから気になっていたんだ」
それがサージュの最初の一言だった。
「影……?」
私は影の先生たちを「人」と「猫」と認識していたから、そう呼ばれていたことに驚いてきょとんとしてしまった。するとサージュは真後ろの遠い教室の窓から指差して、あの窓から私のことを見ていたというのだ。私はますます驚いた。
「あなたは……とても目がいいんですね」
私が文字の読み書きをする頃には、敬語もいくらか使うようになっていた。といっても子ども同士ではその必要はなかったのだろうけど、お父さんもお母さんも私に対しても敬語だったから、言い慣れるのに全然時間は使わなかった。だとしても、私は年齢よりは少し大人びた子どもだったかもしれない。