第1章 ひとりぼっちの居場所
「それでも、行くのかい」
問われる。
試すような目だった。
ヒスイは、ほんの少しだけ考えて。
すぐに答えた。
「うん」
迷いは、なかった。
「好き、だから」
その一言にすべてが詰まっていた。
猫又は目を見開く。
「……なら、止めやしないよ」
くるりと背を向ける。
「ただし――」
尾が揺れる。
「壊れても、泣くんじゃないよ」
その言葉は、呪いみたいに静かだった。
ヒスイは小さく息を吸う。
そして空を見上げた。
あの人のいる場所を思いながら。
――たとえ削れてもいい。
――それでも、触れたい。
そう思ってしまった時点で、もう戻れなかった。