第6章 番外編 忘れられない温度
ある日、買い出しを頼まれた。
連日続いた任務に駆り出されたものたちが疲れた顔して帰ってきた。
どうやらお疲れ様という名の宴を開くようだ。
たまたま手が空いていたせいか、光忠に急ぎでお願いだと。
渡されていたメモの通りに買い物を行う。
変わらない日常の一部。
万事屋から出ると、袋を抱え本丸へ帰ろうとた。
ふと万事屋の隣に並び立つ建物が気になり、覗き見る。
小さな店。
ふと、目に入った。
――黄色いアヒルの髪留め。
(……あいつに似合うな)
考えるより先に手に取っていた。
理由はない。
ただ、単純に似合うと思った。
それだけだ。
代金を払い、店を出る。
足が少しだけ速くなる。
帰れば、いる。
渡せば、きっと――
(……)
想像は、途中で止めた。
そんなもの、柄じゃないなと。
だが。
胸の奥が、わずかに温かい。
それだけで十分だった。