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【刀剣乱舞】神様に恋した猫【完結】

第5章 痛みのかたち


少しだけ、間を置いて。

「今度は、“分かった”か?」

答えない。
答えられない。

分かっていたはずだった。
なのに何もしなかった。
その結果が、これだ。

「……あいつは」

やっと、声を出す。

「最初から、こうなるつもりだったのか」
「さあな」

肩をすくめる気配。

「でもまあ」

少しだけ、柔らかい声。

「幸せそうだったぜ」

その一言がやけに重い。

「……」

何も言えない。

風が吹く。
木が揺れる。

いつもと同じ景色。
なのに。
もう、何もいない。

「……帰るぞ」

鶴丸の声。
任務がある。
やることがある。
変わらない日常。

――それでも。

足が、動かない。
あの場所から、離れられない。

「……大倶利伽羅」

名前を呼ばれる。
静かに。

いつもより少しだけ、優しく。
それでも。
動けない。
ただ、そこに立ったまま。
何もない場所を見続ける。

――一度触れてしまった温度は。
もう、戻らない。
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