第5章 痛みのかたち
(大倶利伽羅視点)
静かになった。
あまりにも静かすぎて現実味が薄れる。
そこにあったはずの気配はなく温度が、完全に消滅する。
「……っ!」
手を、見る。
何も残っていなかった。
さっきまで、触れていたはずなのに。
(……消えた)
理解はできている。
受け入れは、できていない。
「……くだらない」
吐き捨てる。
何に対してかも分からない。
自分か。
あいつか。
それとも――
「……またか」
低く、こぼれる。
守れなかった。
止められなかった。
分かっていたのに。
「……何も、変わっていない」
拳を握る。
何も掴めない。
最初から、最後まで。
全部、すり抜けていく。
そのとき。
「……終わったか」
背後から、声。
振り返らなくても分かる。
「……鶴丸」
「言っただろ」
隣に立つ気配。
「見逃さねえって」
軽い声。
でも、その奥は静かだ。
「……」
「どうだ?」