第3章 名前をもらえない距離
な
(鶴丸視点)
――やっと見つけた。
「よう、大倶利伽羅」
声をかけると、黒い背中がぴたりと止まる。
「……鶴丸か」
振り返った顔は相変わらずだ。
生き残ったやつの顔。
それだけで、十分だった。
「探したぜ?勝手に単独行動なんて、相変わらずだな」
「馴れ合うつもりはない」
「はーいはいはい」
軽く流す。
そのときだ。
「……あれ?」
視線の先。
見慣れない影。
白っぽい髪の、小柄な子供。
そして、その足元。
――猫。
(……ん?)
違和感。
妙な重なり。
「おいおい、また拾い物が増えたな?」
にやりと笑う。
倶利伽羅がわずかに眉をひそめる。
「違う。ただ居ついているだけだ」
「ふーん?」
興味深い。
こいつが“居つくものを許す”なんてな。
しかも二つ。
「その子もか?」
ヒスイを見る。
一瞬、目が合った。
(……ああ、なるほど)
理解した。