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【刀剣乱舞】神様に恋した猫【完結】

第3章 名前をもらえない距離


「……誰だ」

当然の反応だった。
ヒスイの胸がきゅっと締まる。

(そっか……わかんない、よね)

ほんの少しだけ期待していた。
気づいてくれるかもしれない、と。
でも。

「……迷子、です」

とっさに出た言葉。
嘘でもあり、本当でもある。
居場所なんて、もうどこにもない。
倶利伽羅はしばらく黙って、ヒスイを見ていた。

警戒――ではない。
ただ、測るような目。

「……ここは人の来る場所じゃない」
「でも、あなたはいる」

思わず返す。
少しだけ間が空いた。

「……俺は別だ」

素っ気ない返事。
けれど追い払う様子はない。
ヒスイは、そっと近づく。
一歩。
また一歩。
心臓がうるさい。

(近い……)

猫のときは、こんな距離なんて当たり前だったのに。
今は、怖いくらい遠い。

「……何をしている」
「……触って、いい?」

そう口にした後、息を呑む。

倶利伽羅の眉がわずかに動いた。
拒絶されるかもしれない。
当たり前だ。
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