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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第6章 エデンを覗き見る



「怒ってるんならそう言ってよ」
「怒ってない」
「だからなんでウソつくの!」
「だからウソじゃねぇって言ってんだろ!」


平行線なやり取りに、語尾が荒くなるのはお互い様で。
住宅地、しかもこんな時間。口を突いて出た大きな声は迷惑でしかないんだろうけど。そんなのに構ってるほど大人じゃないし余裕もない。

蓮の意図が分からなくて。
なんでそんないらいらしてんのか知りたくて。
食い下がるけど見せてくれなくて。

もう何も言い返す言葉が見つからずに、痛いぐらい唇を噛み締めるしかなかった。


「わかった。もういい、もう聞かない。ごめんね」
「は?拗ねてんの?」
「なんでそうなるの?怒ってないんでしょ?あたしが何言っても何聞いてもどうせなんも言ってくれないんでしょ?だったらそう言うしかないじゃない」


勢い任せに捲し立てた、正論ぶった言葉も感情が乗ればただの罵声だ。それでも収まることを知らないあたしのお口は、どうやら完全に壊れたらしい。
一度は腹の底に押し込めたものが、蓮の言葉に刺激されれば呆気なく外へ出てきてしまう。


「……チッ」
「な!?なにそれ!なんで舌打ち!?信じらんない!」
「仕方ねぇだろ!」
「なにが!?」
「花衣が他のオトコに絡まれてんの聞いて嫉妬したとか、……カッコ悪くて言えるわけねぇだろ馬鹿!」
「……………は、い?」
「あーもう!だから言いたくなかったんだよ!」


絶対逸らしてやるもんかと、見据えた蓮の視界からあたしが消えた。消したのは彼。
酷くバツの悪そうな表情で、自分のさらけ出した心情をこれ以上は漏らしてやらないとばかりに、手の甲で口を抑えて。

なんて不器用なんだろうと思った。心の醜い部分を、怒りで隠すことを選んだ彼のそんな姿を、あたしはよく知ってる。素直になれなくて、意地ばかり張って、自分以外の人間がみんな怖かった。

まともに向き合うと心が壊れてしまいそうな恐怖から、警戒心と怒りで隠すことを選んだ以前のあたし。

形は違えど、酷似した蓮の、八つ当たりとも取れる言動を責め立てることなんてできなかった。それどころか、真逆の感情が湧き上がってくる。


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