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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第6章 エデンを覗き見る



ダメだ。
こういうのほんと苦手。
すごい痛い。
って、時間に遅れたのは太刀川さんなのに、なにしれっとあたしのせいにしてんだこの人は。


「花衣ちゃん?って言うのね。ここ、座ったら?」
「は、はい。失礼します」
「望月なに飲む?」
「あー、じゃあウーロン茶で」
「おい!来て早々なんでウーロン茶なんだよ!」
「え、いや、あの」
「何おまえ、飲めねぇのか?」
「諏訪、望月はまだ未成年だ」
「未成年でもこういう場じゃ無礼講だろんなもん。お前はいちいち硬ぇんだよ」


バカみたいに立ち尽くしてるあたしに、自分の隣をぽんぽん叩いてくれた加古さん。言われるがままに座って、店員を呼んだ太刀川さんにアルコール以外を注文すれば、テーブルから身を乗り出す勢いで諏訪さんのダメ出し。それを挺してくれた風間さんが神に見えた。

飲めないわけじゃない。
飲んだらマズい年齢なだけで。

それこそゼミの飲み会はそんなのお構いなしでがんがん飲まされて、それでもけろっとしてるあたしはそこそこに強いほうだと思う。

でも初対面が2人。しかも相手はボーダー内じゃ知名度も高い。加えて顔見知りって言っても、ちゃんと話したのはついこないだ、初任務の時に二言三言交わしただけの風間さん。何度も言うけどアウェイ感が半端ないのに、そんな空間で酒でも飲んでみなさいよ。緊張しすぎて酔の回りも早くなって確実に潰れる。気心の知れた太刀川さんだけならまだしも。このメンツの前で醜態を晒して介抱までさせてるイメージを想像したらぞっとした。

そんな心情を余所に、だれかれ構わず介抱させるのがウチのアホ師匠だと、なぜ思い出さなかったんだあたしは。この人とは腐るほど飲みに行ってんのに。

緊張しすぎて周りが見えてなくて、やっと馴染んできた頃に意識を太刀川さんに向けたらそのままフリーズした。

あれから数時間。
顔色こそほのかに赤みが増したぐらいで、ふらつく様子もない。呂律もしっかりしてるし、ぱっと見はごくごく普通。でも目は据わってる。そして発言も素のこの人より更に輪をかけて際どい。


「おい太刀川、最近どうなんだよお前」
「どうって?」
「あっちの方だよ。相変わらずよろしくやってんのか?」
「あー、最近はご無沙汰だな。そろそろ干からびちまうかも」


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