第6章 エデンを覗き見る
じっとあたしを見下ろすその目に、
いろんな色が見え隠れしてた。
熱くて熱くて蕩けてしまいそうで、
そうかと思えば背筋が凍るほど冷めた瞳。
触れたいと思って伸ばした手のひら。
伝わる温度は、あたしと同じ。
どうしようもなく、愛しいと思ったんだ。
「太刀川さん、ほんとにあたしが来ちゃっても良かったんですか?」
「あれ?おまえ酒飲めなかったか?」
「いや飲めるか飲めないかじゃなくて!メンツの話し!」
「あ、そっち。別に構わないだろ。同じ職場の人間だと思えば」
その同じ職場の人間が、あたしからすれば係長や課長クラス、もしかしたらそれ以上に値する人達の集まりだって、この人は自覚あるんだろうか。訓練生から上がってまだ日も浅いぺーぺーが来ていい場所ではないと思う。
駅で待ち合わせた太刀川さんに連れられて、ボーダー御用達の居酒屋の前。ついさっき聞かされた今日の飲み会のメンバーに、アウェイ感が半端ない。暖簾をくぐれば店員の気持ちいいぐらい明るい声に迎えられたけど、早々に帰りたい気分だ。
「お、やっと来たな。おせーぞ太刀川」
「すんません。コイツの用意に時間かかってたもんで」
「こ、んばんは」
「この子が噂の花衣ちゃんか?お前の秘蔵っ子」
決して広くはない、こじんまりとした店内。店の入り口からちょうどどんつきの小上がりの一角。既に飲み始めていた諏訪さんが、生ビールのジョッキを片手に太刀川さんとあたしを交互に見た。隣には風間さん。その向かいに座っているのは加古さん。3人の視線が諏訪さんの一言で一気にあたしに集中。