第6章 エデンを覗き見る
「ゾエの後方、南に500メートル。カゲの右前方、東に1キロ。あとは花衣さんの前方、北に200メートル」
「すごいな、今日は大量発生だね」
「なに呑気なこと言ってんだゾエ!さっさと片してサポート回れ!」
けたたましく鳴り響くサイレンの音と、途端に走る緊張感。グラスホッパーを起動し、屋根伝いに距離を詰めれば視界が開けた。
球体から列をなして、出てくる出てくるモールモッドの大群に、運動会でもすんのかよ!って光ちゃんの声。影浦くんと北添くんの方もこんなんなってんのかな。
「大丈夫?動けそう?」
「はい、やれるだけやってみます」
「あの腕のブレード、けっこう硬いから気をつけてね」
「了解です」
心なしか引きつった表情の彼が、屋根から飛び降りたのを確認して、あたしもその後に続いた。
うじゃうじゃと気持ちの悪い動きでこちらに向かってくるモールモッドの、振りかざすブレードを一本一本切り落としてから中心のコアを破壊してくも、数が多すぎてさすがに骨が折れる。かと言って、スピードの速いこの子達の懐に飛び込むのは自殺行為だ。入った瞬間、串刺しにされてゲームオーバー。任務でベイルアウトなんて、割が合わなさすぎる。ここはやっぱり地道に斬ってくしかないよね。
と、頭であれやこれや考えてたから周囲に気を張り損ねた。あたしの右側で、苦戦しながらも確実に一体一体数を減らしてく彼の背後に1匹。
まずいなと思うも対峙してるのはこちらも同じで。
彼目がけて勢いよく走ってくる巨体と、ぶつかり合う寸でのところでその隙間にグラスホッパーを差し込んだ。