第6章 エデンを覗き見る
「あの、望月さん」
「はい、あ、ごめん」
2人に気を取られていたせいで、忘れてた、この人の存在。あたしを伺うように、申し訳なさげに声をかけてきた、同期の男の子。
今日が初任務で同じアタッカーの、確か高校生って言ってたような。
あたしよりもガチガチに緊張しまくる彼と、今日はペアだったんだ。
「ゲート出るまでは待機で大丈夫、だと思う」
「了解です」
「あと滅多にないみたいだけど、警戒区域内に入ってくる人の保護?もしなきゃだから一応気をつけて下も見てよっか」
「分かりました」
最初のあたしみたいにバカなヤツは、まぁいないと思うけど。
しし丸を追っかけ回した時の自分を思い出したら苦笑が出るよ。
「はじめは緊張するよね」
「もうどきどきですよ」
「あたしも」
新米2人が屋上で突っ立って、お互いに苦笑い。
ほんとはベテランが付くらしいんだけど、カゲにそんな大役任せられるわけねーだろ!って光ちゃんが吠えて、その横で北添くんが大きく頷くのを見た時は、いろいろ納得した。
うん、影浦くんは指導ってタイプではないよね。
だからって、あたしとこの子が一緒なのも問題あると思うけど。
「お、きたきた!ゲート開いたぞ、って、はぁ?」
「どしたどした?」
光ちゃんの荒ぶった声に反応したのは北添くんだった。どこに開いたの、そう問うことよりも、周りを目視することよりも早く、前方数百メートル先に黒の球体。おお、まじですか。当たりを引いたのはあたしか。
でももしミスったとしても、北添くんが近くにいるし、やれることやればいいんだよね?なんて他力本願な思考は、次の光ちゃんの通信で呆気なく焦りに変わった。