第6章 エデンを覗き見る
「それに、」
「なに」
「俺と似たようなサイドエフェクト持ち、らしいじゃねぇか」
「お揃いだね、ウレシイワ」
「は、アホか。勝手に言ってろ」
嫌味を込めたつもりの言葉は呆気なく切り捨てられて、いつのまに飲み干したのか、空になった空き缶がゴミ箱目がけて宙を舞う。立ち上がった影浦くんと一緒に集合場所に向かった。
「おい花衣」
「なに?」
「足引っ張んじゃねぇぞ」
「できるだけ気をつけまーす」
警戒区域内、住宅地の一角の、一際大きな団地の屋上。その左前方数キロ、肉眼では見えない距離から影浦くんの通信。間延びしたようなゆるーい返事をしてやれば、案の定、舌を打つ音が聞こえた。
「大丈夫だよ花衣さん、ヤバそうならゾエさんサポート入るから気楽にね」
「ありがとう北添くん」
影浦くんとは対照的に、北添くんの丸いフォルムは後方から。ぶんぶんと呑気に手まで振ってるのが見えた。
「おいこらゾエ!ヤバくなってからじゃ遅いんだぞ!?そうなる前に花衣さん死ぬ気でサポートしろよ?」
「光ちゃん、ほんっとゾエさんに厳しいよね。泣いちゃうよ?」
「勝手に泣け!」
つい数十分前に初顔合わせがあったばかりなのに。
この優遇にはなんだか申し訳なくなる。影浦くんがあんなんだからって言ったら失礼なことこの上ないけど、どんなメンツなんだろうって、かなり構えてた。でも会って拍子抜けした。
見るからに穏和で人の良さそうな北添くんに、口数は少ないけど礼儀正しい絵馬くん。オペレーターの光ちゃんはお口が少々乱暴だけど、あたしに見せてくれた可愛い笑顔と、コイツらバカだから何かあったら全部あたしに振って下さいねって、気遣いが嬉しかった。
光ちゃんと北添くんのやりとりを耳に、緊張していた体が少し緩んで、連動するみたいに口もとも緩んでく。二度目の任務がこの賑やかな影浦隊とで良かった。