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PRISM LINE【ワールドトリガー】

第5章 無重力に花は咲く



「アンタいつもエスプレッソだろ?たまには甘ぇのもいいじゃん」
「エスプレッソはここのが美味しいから。って、こないだのチョコ、ありがとう。美味しかった」


あぁ、あれな、あまりもんだけど。後ろの棚の引き出しを開けて、テーブルに置いてくれたのは見覚えのある茶色いキューブ型のそれ。しかも山盛り。

手のひらでごっそりと掴み取った量が尋常じゃなくて、こんなに食べれないよと、半分ほど彼の手前まで押し返すと、それでも半分は食うんだって笑われた。女子は甘いの好きなんですよ。


「そういやアンタさ、」
「ちょっと待って」
「あ?」


ずっと気になってた。一時のやり取りで主張するのもどうかと思ったけど、嫌なものは嫌。途中で遮られた彼が怪訝な顔つきで、ちょうどできたてのキャラメルラテをテーブルにこつりと置いたのは同時。


「そのアンタって、やめてほしい」
「だって名前知らねぇし。つーかアンタけっこう注文多いよな、さっきから」
「うわ、また言った」
「今のはわざと」


してやったりな顔して、茶目っ気いっぱいに笑みを溢す。その表情が、アンタ呼びされたくなかったら名前を教えろと言ってるようにも見えて、応えてやれば気の無い相槌。


「あんたは如月くんでいーの?」
「蓮でいーよ、花衣ちゃん。つーか自分は嫌がるくせにあんたって言うなよ」
「あぁ、ごめん、今のはわざと」
「負けず嫌いか!」


胸の位置のネームプレートに書かれた彼の苗字は、ここに座った時からチラチラ見えてた。蓮と同じことをしてやれば、間髪入れずに突っ込まれる。そんなくだらなくてどうでもいい会話が数分続いた頃、テーブルの上、書類に紛れて置きっぱにしてた端末が震えた。


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