第3章 玄英宮に響く歌声
最後の一節が玄英宮の空へと吸い込まれるようにして消えていく。
幻想的な音色もまた、余韻を残しながら静かに止んだ。
一瞬の静寂に誰もがその美しさに魂を奪われ、息をすることさえ忘れていた大殿で、最初に動きを見せたのは玉座だった。
パチ、パチ、と、ゆっくりだが力強い王の拍手の音が響く。
その隣では六太もまた目を輝かせながら、勢いよく両手を叩き始めていた。
王と麒麟の絶賛の合図に弾かれたように、呆然としていた官吏たちからも堰を切ったように拍手が沸き起こる。
それは瞬く間に広がり大殿全体を揺るがすほどの、溢れんばかりの喝采へと変わっていった。
(……届いたんだ)
胸を満たす凄まじい拍手の音に、の胸がじわりと熱くなる。
緊張が歓喜へと変わり彼女は嬉しそうに、けれど宮廷の楽士として控えめに深く頭を下げて微笑んだ。
その笑顔の愛らしさにまた一際大きな拍手が上がる中、玉座の尚隆が深く頷き朗々と声を響かせた。
「大義であった、。見事な歌声、確かに届いたぞ」
「ありがたき幸せに存じます」
もう一度心を込めて一礼し、はお役目を終えて舞台を下がった。
去り行くその後ろ姿、金の髪飾りがシャンと鳴るその一瞬までも、居並ぶ官吏たちはその美しい少女の姿を目に焼き付けようと熱い視線を送り続けていた。
彼らの注目を一身に浴びながらも彼女は最後まで凛とした足取りで退場していった。
その後も、式典は滞りなく進められ、厳かな雰囲気のまま無事に幕を閉じた。