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蝕に攫われた春 【十二国記 延王】

第4章 仙籍


「うぅ……これは、ち、違います……違わない、ですけど……」


「まぁ、図星ですのね? 実際のところどうなんです? 様は、主上のことをどう思っていらっしゃるのですか?」




身を乗り出してくる女官たちの熱い視線に、は真っ赤になった顔を両手で覆い隠すようにしながら、蚊の鳴くような声で初めて胸の奥の本音を言葉にした。




「……お、お慕い、しています……。あの、初めて助けていただいた時から、ずっと、格好いいなって……。昨夜も、騎獣に乗る際に後ろからぎゅってされて、心臓が止まるかと思いました……っ」



「「「きゃあああーーっ!!」」」



「やっぱりそうですのね! お慕いしていらっしゃるのね!」




部屋中に女官たちの黄色い悲鳴が響き渡り、大盛り上がりになった。
女官たちも、日頃から尚隆を見るの熱い視線に気づいていたが、こうして本人の口から熱い告白を聞かされては、興奮せずにはいられない。



「いいですわねぇ、主上へ恋心だなんて! 毎日があんなに素敵なお声で歌われているのですもの、いつか主上の頑なな御心も、様の歌声とお気持ちで蕩けさせてしまわなくては!」


「そんな、滅相もないです……っ! 私はただ、近くにいられるだけでもう十分幸せで……」



「何をお仰いますか! 恋バナの前には、仙も人間も関係ありませんわよ! 私たち、全力で様の恋を応援いたしますからね!」



真っ赤になって身を縮めると、我がことのように大はしゃぎする女官たち。
仙籍に入り不老長寿の存在になろうとも、恋にときめく女心と、それを楽しむ女官たちの賑やかさは、下界の娘たちとなんら変わることはなかった。




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