第11章 アイミスユーの後遺症
自分の気持ちを自覚した途端、ときめきと高揚感が交互にやってきてはこれでもかと掻き乱していく。頭が惚けて常に彼の残像を思い出しながら、自ら胸をぎゅっと締め付けるんだ。
ああ好き、やばい好き、どうしよう好き。無自覚に溢れてくる真っピンクな熱量も、蓄積されればもはや毒になる。
持ち続けていたら生活にまで支障をきたすんじゃないかとビビり散らかした挙句、唯一見つけた一時的対処法は、無心で子供みたいに手足をジタバタさせることだった。絵面がアホなのはこの際目を瞑るとして。
だけどこの燻ってもどかしい感情も嫌いではなかった。久しく味わっていないせいで扱い方に戸惑っただけ。
本当に嫌いなのは、ずきんともどくんとも取れる、頭から一気に血の気がさーっと引いていくあの感覚。
そう、例えば大事な局面で盛大にやらかした時とか、彼氏に振られた時もアウト。
あとは、見たくないものを意図せず見せられた時。そう言う場面では決まって付加価値もついてくる。目の前の情報を上手く脳が捌けずに匙を投げるともう笑うしかなかった。
「まだ誰も来てないじゃん」
自宅から徒歩数分。だだっ広い敷地には錆びれたブランコに保守点検中と書かれた張り紙がされている滑り台。
等間隔で並ぶ街灯の下、ベンチに座ると僅かに軋む音が聞こえ、夜でもじんわり汗が浮く蒸し暑さに着いて早々帰りたくなった。
バイト先で死ぬほど花火もらったから付き合って。
そう理子から連絡が届いたのはつい1時間前のこと。花火!いいじゃんやろうよ!夏の風物詩にまんまと釣られた自分に少しだけ後悔した。虫除けスプレーを頭から被ってこなかったことにも。
手持ち無沙汰が変に気持ち悪くて携帯の画面をつけると、バックライトの青白い光が私の顔に反射する。
ふと、これ顎の先に近づけたらなんちゃってホラーになるんじゃない?理子が来たら脅かしてやろうかな。なんて馬鹿げた事を思っていたら公園の入り口から砂利を踏む音が聞こえた。