第10章 ノンセキュリティ・ブランケット
「すげぇタイミング」
「悪いことしてないのにずっと気持ち悪い」
「悪いことはしてないけど勘違いはさせてるだろうな」
「もっと他に勘違いするとこあるのに」
居酒屋でも宅飲みでも翌日のやりとりも、おれにしては珍しく強く押したほうだった。
彼女がなんとも思ってないのは分かっていて、なにか思ってるのは自分だけで。それも高校時代から。
腹立つほど元カレに未練を残したまま、彼女と元カレの思い出をなぞるような、まるで聖地巡礼の如くあの大きな公園の噴水前で花衣を見つけた時、
____そんなヤツ忘れて、おれにすればいいのに
咄嗟に口をついて出た本音は、拾われるんじゃないかとひやひやしてた。
疎遠になれば思い出すこともない。ノイズと同じで根っこが切れたら平穏に戻るんだと、そうタカを括ったこと自体が誤算だった。
だから人混みと熱気にむせかえるあの駅で再会した時、彼女ともう一度繋がったのなら例えどんな手を使ってでも意識させたかった。
重すぎる気持ちをひた隠しにして、どう接すれば花衣の心が揺れるかだけに注力し続けた。