第2章 借り物/ブルーロック/糸師凛/幼馴染み/シリアス日常
幸いなことに教室はまた、すぐにいつも通りの空気に戻る。友人だけは潜めた声のまま繭に早口で話しかけてくる。
「何?!今の?!阿吽の呼吸みたいな」
「うわぁ……迫力がありすぎる……っ」
理屈ではわかる。回りの空気感も評価も、それが妥当と言えるだろう。ただそこに自分の心が伴っていないのだから、回りから何を言われようが言葉だけがするする流れるだけに聞こえてしまう。反論も肯定も生まれないのだ。
凛とはお互いに情緒を交換し合う会話を必要としていないし求めてもいない。とはいえ、わざわざ縁を完全に絶つ意味も労力すらも不要で無意味。その結果が今のような義務的な雰囲気になるだけだ。
この先、凛はもっと上に行くし物理的にも心理的にも遠ざかってゆく可能性が強い。そこに悲観の思いも然程ないのだから、繭自身にも冷淡な部分が存在するのかもしれないし、ある意味で言えば 似ている要素もあるのかもわからない。
「今のウチからサインもっておいた方がいいかなぁ」
「繭ー お願い~」
「やだ。自分で頼んで……」
「いじわる~」