第2章 借り物/ブルーロック/糸師凛/幼馴染み/シリアス日常
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時は放課後。
繭は深い睡魔に引っ張られ自分がいつ眠っていたのかさえ自分でも気づいていなかった。机に突っ伏した状態のまま静かに背中を上下させたままだ。
太陽はほんのり赤く色づき夕日に傾いてきている。回りの生徒達もちらほら教室から消えてゆく姿が目立った。
事務的に借り物を返すために繭の教室の後ろ扉から、凛は黙って中に入った。クラスには人は数名、当の繭と来たら昼間とまるで変わらずのまま、片頬を机と同化させ顔を髪で覆い隠したまま寝入っている姿勢にある。冷めた呆れを覚える。
わざわざ声をかける意味もないので参考書を机に置きその場を去ろうとした折、後ろから声をかけられた。
「あ、糸師くん……」
視線を向ければ知らない女子生徒がいる。繭の友人か、このクラスの生徒か誰かだろうか。ただ、凛にはどうでもいい。その女子高生は素早くこちらに近づくと、繭と凛を交互に見ながら話し出す。
「あー繭まだ寝てるの?起きなよ。糸師くん来てるよ」
女子生徒はそのまま声のトーンに合わせた柔らかい手つきで、繭の肩に触れる。そっと揺さぶられても繭の眠りは深いままだった。
「繭、起きなって」
凛にすれば目的は参考書を返すことのみ。
繭の目覚めを待つ義理もないし目の前の生徒にそれを預けてしまえば良いだけのこと。
そう判断したその時。
ぼんやりと。
夢を見ていたかといえば少し違うのだが、脳裏に掠めるものは無とも違うしはっきりした認識を持てるものでもなかった。繭は遠くから呼ばれる声と肩に触れる感触を受け、少しだけ意識を取り戻した。
ただあまりにもまぶたが重い。その隙間から入ってくる夕日の欠片みたいな色味にはなぜか懐かしいものを感じなくもない。
ここはどこなのか、状況は何だったか、心も体もそういった事に意識を回す余裕がなかった。喉が渇いているような感覚もあり、口を開くことすらも億劫に感じてしまう。
諦めが深くなればまた重力に吸い込まれるように意識が飛びそうになる。思考も感覚も置き去りにしたまま、身体だけがそこにあるみたいだった。
喉元が勝手に反応する。