第2章 借り物/ブルーロック/糸師凛/幼馴染み/シリアス日常
「…………私が、……冴の話をしないのは、」
心配そうに眉を下げていた友人の目に、興味の色が宿る雰囲気がある。
今は何としても凛の顔を見たくないと思う。あの雰囲気も、視線も顔つきも何もかもだ。あの顔を見ていたらどうしても、その奥によく似た別の顔を想像してしまう気がするから。
凛と同じものを共有しているのだとしたら実に不愉快であり、その対象が「それ」であること自体、何としても認めたくないと思った。
人には興味を持たないのに無意識にも他人の内側に侵食しているのだとしたら、怖気立つ気分にもなる。
「あの人を認めたくないから。」
凛と明確に違うのは、凛は神格化するほどに冴のことを心底認めていることだ。
凛は自分の内側にあるものの方向性を固く定めているが、繭にはまだこの感覚も感情も衝動も、理解も消化も出来ていないことだ。
いや、しないようにあえて蓋をし続けている。開けてはいけない何かが存在していることを本能的に感じているからだ。
胃の中から何かがひっくり返る感覚を得て、つい、繭は自分の口元を手で覆う。これは全部、体調のせいだろう、そう言い聞かせて足早に教室を出た。
fin