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<短編>ブルロ 気まぐれに書きたいやつ

第2章 借り物/ブルーロック/糸師凛/幼馴染み/シリアス日常


朝。

あと5分ほどで学校に着く明るい朝の通学路で、繭は大きな欠伸をした。余裕のある時間でもないので回りの忙しない雰囲気がなぜかえらくゆっくり感じられる。

まだ朝で脳が働いていないのか、今朝は身体が重いままだ。学校に向かいぼんやり足を進めていると後ろから声をかけられる。


「おい」
「…………」


声だけで誰かわかるので、今更愛想笑いを振りまく必要もない。繭はけだるそうに振り返り凛に開ききらない目を向けた。


「数学の参考書貸せ」
「…………」
「早くしろ」
「…………」


なぜ、命令口調なのか。当然の決定事項なのか。持っているかのお伺いはないのか。朝の挨拶とかないのか。
いつくかの文句が脳を回るが口を開くことが面倒だった。繭は凛を見上げて言った。


「なんで?」
「必要だから」
「目的ではなく原因を聞いてる」
「忘れた。貸せ」
「お願いしますとかないの?」


案の定、凛は平常心だ。そんな枕言葉は不要だと本気で思っているのだろう。別に参考書を貸すくらいなんてことはないのだが、働かない頭が些か嫌みっぽくさせるのかもしれない。

凛は基本的に自己管理能力が高いし生活も整っている。
それは、凛の頭の中にはサッカーのことしかないからだ。完璧に見える凛のさまは、サッカーを軸にその他の物事を組み立てるが故の副産物にすぎない。
逆に言えば、ごくまれにその他のことに関してはらしくないミスをする。いや、エネルギー配分が狂いサッカーに消費され過ぎていると言った方が正しいだろう。

繭は凛を無視し、くるりと振り返ると前を向いて足を進めた。


「私、1時間目に使うから。それ以降に取りに来て」
「届けろよ」
「ふざけてんの?」
「……わかった」


ここで届けさせようと譲らないものならどうしてやろうと思う所だったが。凛は比較的すんなり折れ、繭を追い越し校門を通り人並みに姿を消した。

繭は重い通学バッグを片手で抱え直し、聞こえ出すチャイム音を受け、いよいよ歩調を急がせた。


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