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時空の絆

第9章 東から西へ



第48話:第一次長州征伐


江戸の空に、冬の足音が聞こえ始めた頃。
隅田川の静かな流れを切り裂くように、衝撃の報せが橘家に飛び込んできました。

「……始まったか」

仁先生が、瓦版を握りしめたまま低く呟きました。

『幕府軍、長州へ向けて進軍を開始――。』

第一次長州征伐。禁門の変で敗れた長州藩に対し、幕府がついに総攻撃の火蓋を切ったのです。

「……先生。これって、あの高杉さんや桂さんがいるところですよね?」

私の問いに、仁先生は沈痛な面持ちで頷きました。

「ええ。歴史では、この征伐によって長州は窮地に立たされます。……高杉殿が、あの破天荒な知恵でどう動くか。……あるいは、歴史そのものが彼を飲み込もうとするのか」

橘家の茶の間には、重苦しい沈黙が流れていました。
恭太郎さんは、幕臣の一人として、いつ出陣の命が下るか分からない緊張感の中にいました。

「…… 桜子殿。時代は、我らが思うよりもずっと速く、残酷に動き始めたようです。……新選組も、近々京へ増援を送るという噂がある」

恭太郎さんの言葉に、私はハッとしました。

「……沖田さんは!? まだ、やっと歩けるようになったばかりなのに……」

「土方殿は、彼を江戸に残すつもりでしょう。ですが……あの男が、仲間が戦地へ向かうのを黙って見送るでしょうか」

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