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時空の絆

第6章 呉越同舟


新選組の集団が、雨上がりの闇の中に消えていくのを見届け、桜子はへなへなと崩れ落ちました。

「……助かったか」

龍馬さんが呟いたその時、裏口から別の男が姿を現しました。

「晋作! 無事か!」

「……桂か。遅いぞ、逃げ遅れるところだった」

現れたのは、長州の桂小五郎でした。彼は桜子たちに深く一礼すると、寝床の高杉さんの元へ駆け寄りました。

「晋作、もう限界だ。長州へ戻ろう。……君の命は、ここで散らしていいものではない。新しい日本を作るために、今は生きるんだ」

高杉さんは、悔しそうに顔を歪めましたが、やがて仁先生と桜子を見つめました。

「……南方仁。…… 桜子。未来の医術とやらは、案外、温かかったぞ。……死ぬ時は、お前たちの作った粥を思い出してやる」

高杉さんは桂さんに肩を貸され、闇に消えていきました。
宿に残されたのは、仁、桜子、恭太郎、そして龍馬。
嵐のような夜が明け、京の空に薄明るい光が差し込み始めます。

「……先生。……私たちは、歴史を変えてしまったのでしょうか」

自問自答しながら、雪乃は自分の胸に手を当てました。

そこには、沖田の温かな掌の感触と、高杉の力強い鼓動が、確かに残っていました。
歴史の教科書には載らない、けれど、誰かの心に刻まれた「誠」と「義」。
それは、どんな大きな歴史の流れよりも、雪乃にとっては真実でした。

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