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時空の絆

第4章 時代を駆ける者



第二十三話:新選組の空気


橘家の台所で、私は咲さんに教わりながら、土鍋と格闘していた。

「桜子さん、根菜は細かく刻んだほうが、お体に障らず滋養がつきますよ」

咲さんのアドバイスを受けながら作ったのは、生姜を効かせた根菜のスープと、出汁をたっぷり含ませた卵がゆだ。現代の栄養学の知識を総動員して、免疫力を高める食材を選んだ。

「……よし、できました!」

私は恭太郎さんに付き添ってもらい(「一人で行かせるわけにはいかん」と押し切られた)、新選組の屯所近くにある、沖田さんがよく休憩しているという小さな空き家へと向かった。

「……ここか。桜子殿、私はこの辺りで見ておりますゆえ」

恭太郎さんはそう言って、周囲に鋭い視線を配りながら距離を置いた。

私が戸を叩くと、中から「はいはい、開いてますよ」と、いつもの気の抜けた沖田さんの声が聞こえた。

「沖田さん、約束のもの、持ってきました!」

「おや、桜子さん。本当に来てくれたんですね」

沖田さんは、縁側に腰を下ろして刀を磨いていた。
傍らには、何人かの隊士たちがたむろしている。

「おい総司、その別嬪さんは誰だ? 」

「よせよ、総司にはもったいねえ。なあお嬢ちゃん、俺たちにもその美味そうな匂いの正体を分けてくれよ」

声をかけてきたのは、袖をまくり上げ、大きな握り飯を頬張っている男たちだった。
おじいちゃんから聞いていた「人斬り集団」のイメージとは、あまりにかけ離れている。
ある者は、破れた足袋を慣れない手つきで繕い、ある者は、田舎の母親への手紙を書いているのか、筆を止めて空を仰いでいる。

「……みんな、普通の人なんだ」

私が思わず呟くと、沖田さんがクスクスと笑った。

「言ったでしょう? 鬼の副長が率いる、ただの野郎どもの集まりですよ」


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