第4章 時代を駆ける者
第十九話:人間味溢れる人々
「……それでね、土方さんったら、あんなに怖い顔して『バラガキ』なんて呼ばれてるくせに、実は俳句を詠むのが趣味なんですよ。しかも、内容がちょっと……こう、可愛らしいというか」
「ええっ、あの『鬼の副長』がですか!?」
おしるこ屋の片隅で、私はお腹を抱えて笑い転げていた。
目の前の沖田さんは、お餅を頬張りながら、新選組の幹部たちの失敗談を次から次へと披露してくれる。
「近藤さんなんて、稽古中に気合が入りすぎて、自分の袴を刀で斬っちゃったことがあるんです。本人は気づかずにそのまま仁王立ちしてるもんだから、隊士たちは笑いをこらえるのに必死で……」
「あははは! おじい……先生から聞いていたイメージと全然違う!」
私は目尻に溜まった涙を指で拭った。
未来で聞いていた新選組は、もっと血生臭くて、規律に厳しくて、近寄りがたい集団だと思っていた。でも、沖田さんの口から語られる彼らは、まるで男子校の部活の延長線上にいるような、賑やかで人間味に溢れた人たちだった。
「……雪乃さんは、本当によく笑いますね」
沖田さんが、ふと優しく目を細めた。