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時空の絆

第3章 修行



第十五話:修行開始


「さて、桜子さん。修行の第一歩として、まずは君の『武器』を確認しましょう」

仁先生の私塾「仁友堂」の一室。
畳の上に、私の通学鞄の中身がすべて広げられた。昨日までの絶望的な空気はどこへやら、仁先生は新しい医療機器を前にした少年のように目を輝かせている。

「まずはこれ……『不織布マスク』ですね。今の江戸では、布を口に当てるのが精一杯ですが、これは塵も細菌も通さない。手術やコレラ治療には不可欠だ。……10枚もある。大切に使いましょう」

「はい。それからこれは、アルコール消毒ジェルです。おじいちゃん……先生の時代よりも、ずっと強力な除菌ができるって聞きました」

「素晴らしい! 手洗いの精度が飛躍的に上がる。除菌シートも、術野の清拭に役立ちそうだ。……絆創膏、それにロキソニン……一箱丸ごとあるのか! これは江戸の人間にとっては、痛みという地獄から救い出す神の薬になりますよ」

仁先生は一つ一つのアイテムを手に取り、その効能をまるで宝鑑定士のように解説していく。隣で見ていた咲さんも、「ほう……」「これは不思議な手触りですこと」と感心の声を上げている。

そんな中、鞄の底から出てきた黒い小さな棒状のものを見て、先生が首を傾げた。

「これは……ペン型の、ライト……?」

「あ、それ災害用の小型LEDライトです! 大きな震災があってから当たり前に持つようになって。でも…電池、まだ保つかな……」

私がスイッチを入れた瞬間、真っ昼間の室内でも分かるほどの鋭い白光が壁を射抜いた。

「「っ!!」」

仁先生と咲さんが、同時に飛び退いた。

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