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時空の絆

第12章 未来への道標


それから、数年の月日が流れました。

大阪の地では、暗殺の難を逃れた坂本龍馬が、世界を股にかける商社『海援隊』を率い、隣には妻のお龍がいました。龍馬は時折、西の空を見上げ、「あの二人のおかげぜよ」と、遠い友に思いを馳せていました。

江戸改め東京府。
橘恭太郎は、新政府の要職に就きながらも、決して武士の誠を忘れず、日本の近代化に尽力していました。その傍らには、妻となった桜子の姿。桜子は仁の遺志を継ぎ、咲と共に「仁友堂」をさらに発展させ、貧しい人々にも等しく最新の医療を届ける活動を続けていました。

ある春の日。
桜子は小さな手を引く恭太郎と共に、満開の桜の下を歩いていました。

「……桜子、その簪は、今日も輝いているな」

「ええ。……私の、歴史の、命の重みですから」

桜子がそっと簪に触れた瞬間、遠い記憶が蘇りました。
おじいちゃんの温もり。家茂公の最期。高杉さんの不敵な笑い。そして、あの雨の夜に未来を守って逝った、天才剣士の澄んだ瞳。

歴史は変わった。

けれど、救われた命たちが紡ぐ未来は、今、桜子の目の前で、眩しいほどに輝いていました。

「……行きましょう、恭太郎さん。……この命が尽きるまでやるべき事はまだたくさんありますから」

「ああ。桜子の隣は片時も離れぬ」

桜子は前を向き、一歩を踏み出しました。
その足跡は、過去から未来へ、そして時空を超えて、永遠に刻まれていく「絆」の証でした。

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