緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第4章 不実な夜に、君の名を
「放っておいてよ! 私がどうなろうと、シャンクスさんには関係ないじゃない! 私はもう、船のクルーでもなんでもないんだから!」
「黙ってろ。お前が何を言おうと、俺が許さねェ」
前だけを向き、強引に彼女を連れて行こうとするシャンクス。
その強引さが、の胸に溜まっていた悲しみを爆発させた。
彼女は力の限り、彼の背中に向かって叫んだ。
「嫌なの! 他の女の人を抱いたシャンクスさんなんて、大嫌い!!」
シャンクスの足が、ピタリと止まった。
周囲を威圧していた覇気が一瞬で霧散し、重苦しい沈黙が路地に落ちる。
掴んでいた手首の力が、微かに震えるように緩んだ。
「……大嫌い。昨日、あんなにひどい匂いをさせて帰ってきて……最低よ」
吐き捨てるような言葉。
だが、その声は涙でボロボロに震えていた。
シャンクスはゆっくりと振り返った。
その顔には、先ほどまでの怒りではなく、心臓を直接握り潰されたような、痛切な苦悶が浮かんでいた。
「……あぁ、そうだな。俺は最低だ」
彼は逃げようとするを逃がさず、今度は壊れ物を扱うような手つきで、彼女を力いっぱい抱きしめた。
「大嫌いでいい。軽蔑してくれていい。……だが、俺はお前をもう離さねェ。他の誰にも、指一本触れさせねェ」
彼の広い胸から、熱い鼓動が伝わってくる。
「お前が汚れたっていうなら、俺がそれ以上に、お前を俺の色で塗り潰してやる」
耳元で囁かれた低く、掠れた声。
それは船長としての命令ではなく、一人の男が、最愛の女に敗北を認めた瞬間の、身勝手で切実な愛の告白だった。