緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第4章 不実な夜に、君の名を
「さっきはあんなに満足そうに帰っていったのに、また路地裏に立ってるのか? 本当に淫らな子だぜ」
「……別に、あなたたちを待ってたわけじゃないわ」
「ははっ、冷てェこと言うなよ。腹、減ってんだろ? 顔に書いてあるぜ」
一人の男が、ポケットからパンを取り出し、目の前でひらつかせた。
「またたっぷり可愛がらせてくれるなら、美味いもん食わせてやるよ。なんなら、今度はもっといい店に連れてってやってもいい。……どうする? また俺たちの種、欲しくなったんだろ」
男の大きな手が、の細い腰をぐいと引き寄せ、まだ情事の痕が残る首筋に鼻を近づけた。
「……いいよ。どこへでも、連れてって」
は力なく目を閉じた。
シャンクスのいない世界で、空腹に耐えながら清らかに生きることに、何の意味があるというのか。
男たちが勝利を確信したように笑い、彼女を再び暗い路地へと引き込もうとした、その時だった。
「――その汚ェ手を離せ」
背筋が凍るような低く、圧倒的な質量を持った声。
雑踏の騒がしさが一瞬にして消え失せ、周囲にいた野次馬たちがバタバタと意識を失って倒れ伏していく。
空気が、物理的な重圧を伴って激しく震えた。
「……な、なんだ!? 身体が動か……っ」
男たちが泡を吹いて膝をつく。
が目を開けると、そこには鬼のような形相で立つシャンクスの姿があった。
その瞳に宿る、全てを焼き尽くすような「覇王色」の炎。
「シャンクス……さん……」
震える彼女の視線の先で、シャンクスは一歩、また一歩とこちらへと歩み寄ってきた。
その瞳は、獲物を狙う獣のように鋭く、狂おしいほどの独占欲に燃えている。
「……帰るぞ」
短く、拒絶を許さない声。
彼はの細い手首を掴むと、そのまま強引に船の方へと引き寄せた。
「嫌……離して! 離して、シャンクスさん!」
は必死に抵抗した。
掴まれた腕を振り払おうとし、石畳に踏ん張って彼の歩みを止めようとする。
だが、一人の男として、海賊として本気になった彼の力は、動かぬ岩のように強固だった。
「離さない。お前をこのまま、こんな薄汚い場所に放っておけるか」