緋色の海に溶ける蜜情 【ONE PIECE 赤髪 R18】
第4章 不実な夜に、君の名を
シャンクスの首筋に残った紅い痕に、女を満足させてきたばかりの男特有の、濃密な情欲の残滓。
「…………っ」
の顔から、一気に血の気が引いていく。
彼女を思い浮かべて、その名を叫びながら何度も果てた手前、シャンクスはまともに目を合わせることができなかった。
気まずさと罪悪感で右手を頭の後ろに回して、力なく笑う。
「……おう。、まだ起きてたのか」
「…………」
彼女は何も言わなかった。
ただ、裏切られたような、泣き出しそうな、あまりに悲しい顔をしてシャンクスを見つめた。
その瞳は、言葉以上にシャンクスの胸を深く突き刺した。
「……お休み、なさい」
蚊の鳴くような震える声でそれだけ告げると、は脱兎のごとく、自分の部屋へと駆け込んでしまった。
バタン、と閉まった扉の音が、夜の静寂に虚しく響く。
「……はぁ。最悪だ」
シャンクスは暗い海を見つめ、自身の右手を強く握りしめた。
あの医務室で、彼女の献身を「大切にしたい」などと綺麗事で拒んだ自分が、その手で他の女を抱き、あまつさえ彼女の名を呼びながら絶頂に耽ったのだ。
「……大切に、か。笑わせるな」
自嘲気味に呟き、シャンクスもまた、己の汚れを落とすために浴室へと向かった。
熱い湯でいくら肌を擦っても、脳裏に焼き付いた彼女の悲しげな瞳と、絶頂の瞬間に呼んでしまった彼女の名前だけは、どうしても消し去ることができなかった。
部屋に戻った瞬間、は溢れ出す涙を抑えることができなかった。
(私じゃ、ダメなんだ……)
「大切にしたい」という彼の言葉を、信じていた。
けれど、その「大切」の中には、自分への情欲は含まれていないのだと思い知らされた。
彼は他の女ならあんなにひどい匂いを纏うまで、何度も抱き潰すことができるのに。
ベッドに倒れ込み、シーツを噛み締める。
だが、一番自分を許せなかったのは、彼から漂った「事後」の生臭い匂いに嫌悪感ではなく、どうしようもない欲情を覚えてしまったことだった。